さらに加速化する日本の電磁波社会

どんなにすばらしい科学技術であっても、恩恵だけでなく必ずリスクが伴います。

過去の公害問題を見てもわかるように、そのリスクをどう適切に管理するかが、今、問われているのではないでしょうか?

欧米各国でさまざまな予防的処置や対策がなされている一方で、日本では電磁波に対する予防原則的な枠組みはなく、低周波の基準値もいまだに4mGの1万倍以上の50ガウスのままです。

しかも行政や多くの医師は、「電磁波と病気の因果関係は立証されていない」「基準値を超えていなければ問題ない」としていることから、一般の人にとっては、電磁波が及ぼす健康被害に気づいていないケースがほとんどです。そしていつのまにか「因果関係は立証されていない」が、「因果関係がない」、「問題ない」が「安全である」と解釈されているのです。ですから、帯電障害や電磁波過敏症を訴えても「(因果関係がなく、安全であるから、そんなはずがない」と突き放されてしまうのです。

決して不安を煽るわけではありませんが、今後さらに健康被害が懸念される事態が予想されます。

それは、今後さまざま分野で「ICT政策」が推し進められるからです。

 ICTとは、コンピュータやタブレットなどの電子機器と無線LAN(Wi-Fi)を使った情報通信技術のことです。

たとえば、教育分野に関して、文部科学省は、教員養成課程でICTを使った授業方法習得を目指すカリキュラム拡充の方針を決定しました。

この決定を受け、ICT利用状況の改善と教員の指導力向上に向けた動きが加速すると予想されます。

一例を挙げると、普通教室におけるICT環境整備について、「IT新改革戦略では、教育用コンピュータ2台に加え、クラス用コンピュータ(可動式のコンピュータ〈ノート型〉)を40台(標準法に基づく目安の台数)配備すること」(文部科学省)としています。

また、総務省では地域社会においてICT政策を進める方針で、

「我が国は、世界最先端のICT基盤を備えており、この基盤を有効に利活用する必要があります。現在、多様な分野におけるICTの効果的な利活用の促進に取り組んでいます」とし、

「ICT利活用を検討する地域に対する具体的・技術的ノウハウを有する地域情報化アドバイザー及びICT地域マネージャーの派遣や、ICT利活用の先進的事例に関する広報・周知活動を通じて、地域活性化に資するICT基盤・システムを利活用した取り組みを推進・支援」しています。

さらに、現在電力会社が一軒ごとに設置導入中の通信機能を備えた電力計(スマートメーター)からの電磁波の発生も加わりました。

このように、携帯基地局の増加、無線LANやインターネット接続といった通信ネットワークが広がると、当然、電磁波の被爆量は格段に増えつつあります。

それを考えると、総務省が進める「ユビキタス社会」(いつでも、どこでも、何でも、誰でもアクセスが可能なネットワーク環境)は、決して利点だけではなく、電磁波被爆という大きなリスクも孕んでいるのです。

私のクリニックに来られる帯電障害の患者さんたちは、そのような環境下に長時間いる方々がほとんどであることから考えても、アーシングの対策が最優先かつ喫緊の課題であることは間違いありません。

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