このPartでは、「帯電障害がなぜうつ病と間違われやすいのか?」その理由について解説します。
まず、そもそもうつ病とは、どのような病気なのかを確認しておきましょう。
いわゆる、うつ状態というのは、「ものごとに対する関心や取り組む意欲が失せて、何もする気が起こらない状態が一日中ずっと、ほとんど毎日、2週間以上にわたって続いた状態」を指します。
わかりやすく言うと、“電池切れ”の状態です。
「眠れない」「食べられない」「起きられない」「性欲が低下する」などといった状態に陥ったり、首・肩のこりや頭痛などの症状を伴うこともあるため、日常生活に大きな支障をきたす場合もあります。
そのような症状を伴ううつ病は、誰にでも起こりうる病気だと言われ、厚生労働省の調査(平成14年度)によると、日本では20歳以上の人の約7.5%( およそ13人に1人)が、その調査時点では「一度はうつ病を経験したことがある」と報告されています。
また、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は近年大幅に増加しており、厚生労働省の調査によると、平成23年は320万人、内訳としては、多いものから、うつ病、統合失調症、不安障害、認知症などとなっており、うつ病や認知症などの著しい増加がみられます。
うつ病の主な症状としては、気分の落ち込みや悲しい気持などの「抑うつ気分」、集中力が低下し、些細な決断ができないなどの「思考力の低下」、今まで好きだったことや趣味をやる気になれないなどの「意欲の低下」が見られます。
よく「心の風邪」などとも言われますが、重くなると生きる意欲が損なわれ、自殺に至るケースも少なくありません。
また、うつ病の発症には、性格や考え方(認知)の傾向、あるいは生活環境の変化などによる複合的なストレスも深く関わっていると考えられています。
こうしたことから考えると、いろいろなストレスにさらされている現代の私たちにとって、誰もがうつになってもおかしくない状況に置かれているとも言えるでしょう。
うつ病が発症する原因としてはさまざまな要因が考えられ、また個人差もあるため、発症メカニズムについては、まだはっきりしたことはわかっていません。
しかし、これまでの研究から、脳の中で意欲や気分といった感情をコントロールしているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の減少が原因の一つだと言われています。
このため、最近では抗うつ剤として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)がよく使われるようになっています。
SSRIやSNRIは、従来の抗うつ剤に比べ副作用が少ないため、最近は更年期の抑うつ気分や月経前気分不快障害(PMDD)に対して、使われる傾向にあります。
確かにうつ症状で苦しんでいる方が、これらの抗うつ剤で症状が落ち着かれることはよくあります。
しかし、もう一度思い出してほしいのですが、人の身体が理由もなく暴走することは、絶対にありません。常に正しく反応しています。
症状が出たということは必ず原因があり、その原因にアプローチができれば症状は改善できるのです。
現代医学では、症状があって検査で異常が見つかると、短絡的にそれを原因としてしまう傾向にあります。
もしセロトニンの減少が原因ではなく、結果としての反応であるなら、抗うつ剤だけでは症状が改善されないことになります。
確かに、SSRIの添付文書には、警告として「海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もある」と書かれており、SSRIに関しては慎重な態度が必要と思います。