はじめに

この本は、原因不明の体調不良で困っている方々に対して、「まだほとんど知られていないが、非常に有効な処方箋がある!」ということを、ぜひ知っていただきたいという、臨床医の立場としての強い思いから生まれました。

もし、あなたに、「ひどく身体がだるい」「異常に疲れる」、そして「頑固な冷え」や「肩こり」「目の疲れや乾燥」といった症状があるならば、その背景には、これまでの日本の医学では問題視されてこなかった電磁波の影響が考えられ、原因が体内に溜まった静電気である可能性が非常に高いのです。

要するに、このような症状は、家電や無線LAN(Wi-Fi)、携帯電話基地局などから発せられる電磁波により、身体に静電気が過剰に帯電したために起きる、いわゆる「帯電障害」の典型的な症状でもあるのです。

「帯電障害」は私が命名したもので正式な病名ではありません。

帯電障害とは、「帯電による血管の収縮からくる血流障害や筋緊張と、空中の塵や埃の吸着により引き起こされる一連の症状で、生活に支障をきたす状態」を言います。

電磁波に過剰に反応してしまう「電磁波過敏症」の存在は、ようやく知られてきましたが、帯電障害はまだほとんど認知されていません。

実は、しかし帯電障害こそが体調不良の原因の多くを占めると同時に、電磁波過敏症の前段階でもあるのです。

ところが、医療の現場では、このような帯電による症状はほとんど知られておらず、注目する医師もほとんどいないのが現状です。

その結果、どこの診療科で検査しても原因がわからず、医師からは「あなたはどこも異常がない」と言われてしまいます。

私は以前から電磁波による帯電の問題について注目しており、十年前に札幌に西洋医学と代替医療を統合したクリニックを開院したときに、すべての床に銅線と特殊な炭を敷き詰めたアース床構造にしました。

あるとき、私のクリニックに入ると身体が楽になるという患者さんが現れました。

実は彼女は、電磁波過敏症だったのです。そこで身体の帯電を抜くアースシートの上に自宅で載るように指導したところ、彼女の症状は劇的に改善しました。

このシートは特殊加工した導電布で、アース線を介してアースコンセントと結ぶことで効果を発揮するもので必要に迫られてクリニックで開発したものです。

その後、電磁波過敏に至らないまでも帯電により体調が悪い患者さんが多いこと、しかも、皆同じような症状を持っていることに気づきました。

そこで現在は、疲れ、だるさ、冷え、肩こり、目の疲れや乾燥といった一連の体調不良を訴える患者さんが受診されたときは、必ず帯電量の測定を行っています。

その結果ほとんどの患者さんがかなり帯電していることがわかりました。

その場合は、アースシートに載ってもらって静電気を抜くアーシング、すなわち「静電気デトックス」をしてもらうと、即座に身体の血流がよみがえり、身体がポカポカしてきたり、だるさが取れて身体が楽になることがわかりました。その急激な変化は、こちらがびっくりするほどです。

最近、スマーとフォン人口の増加に伴い、高速大容量の通信網がさらに整備されつつあります。

そのような背景もあって、以前は、帯電障害の患者さんは帯電しやすい冬場に多く見られましたが、最近では、夏でも増え続けています。それだけ、周囲の電磁波量も増えているのでしょう。

現在、帯電障害でありながら、それを知らずに悩み苦しんでいる患者さんがとてもたくさんいます。

帯電障害による体調不良は身体の静電気デトックスをしさえすれば、必ず血流がよみがえり症状が改善します。

私は、このことを皆さんに、ぜひお伝えしたいと思っています。

本書では「静電気デトックス」をキーワードに帯電障害の症状とアーシングの仕方、静電気を溜めない生活の仕方をなるべくわかりやすく解説するつもりです。

さらに、私のクリニックで実践している自然治癒力を発揮できる治療法についてもご紹介しています。

体調不良で苦しんでいる一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。

                                  西谷雅史

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