統合医療の息吹

統合医療実践の現場を学びたいと
わざわざ道北の町から一人の青年がクリニックを訪ねてきました。
彼は整体のセラピストです。
家族が癌にかかたため実家に戻り看病しましたが、
残念ながら数ヶ月で家族は亡くなられたそうです。
医療に携わりながら、がんという病に対して
自分として何も出来なかったとの思いから、
家族が亡くなられた後はかなりの間、放心状態だったそうです。
最近、ようやく改めて自分にこれから何が出来るかを考えたときに
統合医療に出会い強く惹かれたそうです。
いろいろと統合医療の本を読んで勉強した上で
北海道で統合医療を実践している施設を探し見学を申し込み
3カ所目で快く受け入れてもらえたと喜んでいました。
夜間外来が終了した後、彼といろいろ話をしました。
彼は、統合医療という方向性はもっているものの
具体的にどのように進んだら良いかわからない状態でした。
そこで私は、クリニックの概要と現在行っている代替療法について一通り説明した上で
これからの統合医療について次のような話をしました。
最近、代替医療もいろいろな施術を行う施設が増えて社会の認知も進んできている。
しかし、その内容や質のレベルは様々でまさに玉石混淆の状態だ。
本当の意味で病気を治したいと考えると、
身体の症状だけにアプローチする西洋医学だけでなく
代替医療を取り入れた治療(統合医療)を受けたくなるのは当然のことだ。
しかし残念ながら、西洋医学を行う医師は代替医療に懐疑的であり、
代替医療のセラピストの中には西洋医学を否定する人もいる。
この状況の中で、患者が自分の力で代替医療を選択することは大きなリスクと不安を伴う。
これを解決するには統合医療の相談窓口と
相談者に必要な代替医療のセラピストと統合医療に理解のある医師を紹介するシステムが必要だ。
そのためには、優れたセラピストの発掘と代替医療を理解する医師を増やすこと、
代替医療の広い知識を持ちながら
これらの医師とセラピストを取り持つコーディネーターの育成が急がれる。
だいたいこのような話をしたと思います。
整体師の青年は、目を輝かせて
自分の地域にそのような場を作りたいと燃えて帰って行きました。
これからの展開が楽しみです。