「シュタイナー教育における癒し」

P1020493 10月21日、響きホールで「第28回ホロトロピック・タイム」が開催され、今回はイギリスエマーソンカレッジ(人智学に基づく教育、研究センター)で教授を務められたアンドリュー・ウォルパート氏が、「シュタイナー教育における癒し」と題して講演を行ないました。

講演の一部を要約すると

ルドルフ・シュタイナーが創設したシュタイナー教育は、その独自の取り組みで注目されていますが、その本質はあまり知られていません。シュタイナー教育の根底にあるのは、われわれは、人生の体験を通じて成長を繰り返すという輪廻転生の考えです。私たちはもともと人生の意図(目的)を持っており、その意図を遂行しやすくするために両親や環境を選んで生まれるのです。

シュタイナー教育は、子どもがこれからの人生の中で来るべき困難を乗り越えるための「癒し」であり、少しでもその意図を思い出して豊かで実りある人生を送れるよう手助けすることなのです。

私たちが普通に考える教育とは、立派な大人になるための考えられうる最良のことを子どもに与ることです。これはどうしても知識の詰め込みにつながります。

また今の教育では得意な分野を伸ばすことが推奨されます。シュタイナー教育ではこの逆に不得意な分野を伸ばします。これは、不得意なことを克服した経験こそが、その後の人生で大きな自身につながるからです。

シュタイナーのこのような考えは病気にも当てはまります。病気は私たちの人生の意図を遂行を手助けするために現れるのです。その原因ばかりを追求するのではなく、意図についての気づきを得て、学ぶことができればそのとき病気は使命を終えることになります。

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 私たちは今まで、病気は健康を脅かす外敵のように考えて憎んだり嫌ったりしてきました。そして病気は病院で治してもらうものだと思い込んでいました。

医学が進歩しているにもかかわらず、ガンをはじめ治らない病気がどんどん増えている原因はこんなところにあるのかもしれません。

シュタイナーの考えに基づいた医学は人智学医学(アントロポゾフィー医学)と呼ばれ、ヨーロッパを中心に広がりつつあります。